試験概要

■「地方上級(行政職)試験とは?」

地方上級試験とは、47都道府県・18の政令指定都市・東京23特別区の上級職(大卒程度)の採用試験のことで、地方行政を担う将来の幹部候補生の採用を目的としています。全国単位で試験を行う国家公務員試験とは異なり、各地方自治体が独自で採用試験を行っています。したがって、試験科目や選択解答制の有無などの試験内容や、行政事務、学校事務、警察事務といった採用区分は、自治体によって異なります。
行政サービスの多様化に対応するために、地方公務員には多様な人材が必要とされています。特に上級行政職採用者には、地方公務員に必要な幅広い視野や、暮らしに密着した課題を住民とともに考え、柔軟に対応する姿勢が求められています。

「仕事内容は?」
地方公務員の仕事内容は、住民生活の行政サービスを実現する仕事、住民の安全・健康の確保や環境保全を維持・発展させる仕事、公共施設の設置・管理に関する仕事など、住民生活のあらゆる分野に対応できるように多岐にわたっています。加えて、社会の国際化、情報化、高齢化といった変化に合わせるために、近年ますます多様化してきています。
異動のサイクルは3〜4年おきで、本庁と出先機関(財務・福祉・土木事務所など)の両方を早い時期に経験するのが一般的です。本人の希望や適性を考慮して異動が行われますので、いろいろな仕事を経験しながら、ゼネラリストとして進む分野を決めることができます。

試験内容

第一次試験 教養試験(択一式・2時間30分)
専門試験(択一式・2時間)
第二次試験 人物試験(個別面接)
適性検査
身体検査
※標準的な内容です。

※自治体により実施内容は異なりますので、実際に受験する場合は、かならず各自でご確認ください。

※論文・記述試験が一次試験、または二次試験で行われる場合があります。
 第二次試験 7月下旬〜8月上旬 最終合格発表 8月中旬〜9月上旬

公務員試験合格のための第一関門、一次試験の試験内容について、採用人数、受験者数とも最多の行政職を取りあげて詳しくご紹介します。

試験内容は各自治体で異なりますが、いくつかのタイプに分けることができます。
ここでは、『全国型』と呼ばれる採用自治体が最多のタイプについてご紹介します。全国型では、専門試験40問、教養試験50問ともに全問必須解答です。(全国型以外では、選択解答制が取り入れられている出題タイプもあります)

【専門試験】    【教養試験】
科 目 問題数
憲法 4
民法 4
経済原論 9
行政法 5
財政学 4
政治学 2
行政学 2
国際関係 2
社会政策 2
経済政策 1
刑法 2
労働法 2
 
 
 
 
合 計 40問
科 目 問題数
文章理解 9
判断推理 8
数的推理 7
資料解釈 1
数学 1
物理 1
化学 2
生物 2
地学 1
日本史 3
世界史 2
地理 3
政治・経済 7
社会 3
合 計 50問

出題タイプ
独自の出題方法を採用している自治体もありますが、地方上級試験ではいくつかの基本タイプとその変形タイプに分類できます(同じ出題タイプの自治体は9割程度の問題が共通)。解答方法には、すべての問題を解答する「全問型」と出題された問題の中から決められた問題数が選択できる「選択型」があります。

A 全国型 出題は教養試験50問、専門試験40問で、解答は教養、専門とも全問解答が原則。地方上級試験の基本タイプとなる最もオーソドックスな出題です。
B 関東型 出題は教養試験50問、専門試験50問で、それぞれ40問を選択解答。全国型と共通した問題が半分以上を占めていますが、独自の出題科目を設けたり、科目によっては出題問題数の増減があります。
C 中部・北陸型 出題は教養試験、専門試験とも50問で、専門試験のみ40問選択解答。教養は全国型類似、専門は関東型類似といえますが、ここでも独自の科目や、問題数の増減があります。
D 全国型変形 全国型の出題内容が基本ですが、独自の科目を加えて出題数が多くなっています。解答方法は選択型を採用しているところが多くあります。全国型を基本としながらも、一概にタイプに分類できない出題です。
E 関東型変形 関東型の出題に独自の科目を加え、教養・専門とも55問中45問を解答する特殊なタイプです。
F 独自型 東京都T類と東京23特別区は、他のタイプと同じ問題がない独自型です。大阪府は択一式と記述式に試験が分かれ、択一式は教養・専門が混合して66問出題され、60問を選択解答します。その他の自治体の独自型は、同じ問題も出題されていますが、問題数、科目配分などが他のタイプと違っています。

※地方自治体により出題タイプの違いはありますが、全国型に対応した学習をしておけば、どの出題タイプであっても、対応できるでしょう。出題タイプの違いにあわてる必要はありません。

地方上級(行政職)択一式試験の出題タイプ
教養試験・専門試験のA〜Fの記号は、上記の出題タイプ名の頭にある記号と一致しています。

自治体 試験区分等 教養 専門
北海道 一般行政 A D
青森県 行政 A A
岩手県 一般行政 A D
宮城県 行政 A A
秋田県 行政 A A
山形県 行政 A A
福島県 行政 A A
茨城県 事務 E E
栃木県 行政 B B
群馬県 行政 B B
埼玉県 一般行政 B E
千葉県 一般行政 B E
東京都 事務 F 記述式
神奈川県 行政 B F
山梨県 行政 B B
長野県 行政 E E
新潟県 一般行政 E E
岐阜県 行政 C C
静岡県 行政 E E
愛知県 行政I C C
行政II C 未実施
三重県 行政I C C
行政II C 未実施
富山県 行政総合 C C
石川県 行政 C C
福井県 行政 C C
滋賀県 行政 D A
京都府 行政I A D
行政II D 未実施
大阪府 行政 F F
兵庫県 一般事務職 D D
奈良県 行政 D D
和歌山県 一般行政職 D A
鳥取県 行政(法律) A 法律専
行政(経済) A 経済専
島根県 行政 D A
岡山県 行政 A A
広島県 行政一般 D A
行政法律 D 法律専
行政経済 D 経済専
 
自治体 試験区分等 教養 専門
山口県 行政 A A
徳島県 行政事務 A A
香川県 一般行政事務 A A
愛媛県 行政事務 A A
高知県 行政 D A
福岡県 行政 A A
佐賀県 行政 D A
長崎県 行政(法律) A 法律専
行政(経済) A 経済専
行政(行政) A A
熊本県 行政 D A
大分県 行政 A A
宮崎県 一般行政 A D
鹿児島県 行政 A A
沖縄県 行政I A A
札幌市 一般事務 D F
仙台市 行政 D D
さいたま市 事務 D D
千葉市 事務 D A
東京23区 事務 F F
横浜市 事務 F 未実施
川崎市 行政事務(行政) D D
新潟市 一般行政 D D
静岡市 行政事務 D D
浜松市 行政 D D
名古屋市 事務(行政一般) D 未実施
事務(法律・経済) D F
京都市 一般事務職 D D
大阪市 事務(行政) D 記述式
堺市 事務(行政) D D
神戸市 一般行政(法律・経済) D F
広島市 事務(行政一般) D D
事務(法律・経済) D F
岡山市 行政 不明 不明
北九州市 行政総合 D D
行政TU D 未実施
福岡市 行政事務(法律・経済) D F
行政事務(行政) A A

■「国家II種(行政職)試験とは?」

国家公務員II種試験は、将来の中堅幹部候補としての人材採用を目的として昭和60年度から始まりました。平成10年度以降、教養試験・専門試験の改革が実施され、科目選択制度が導入されました。この変革は、これまでよりさらに幅広い人材に門戸を開くことを目的としています。行政の多様化、国際化などの波を受け、国家公務員には多様な人材が必要とされているのです。
行政職の試験は地域別に9区分に分かれていて、地方採用の場合は、採用管区内での異動が中心となります。外務省・国税庁・防衛庁など一部の省庁では、II種レベル職員採用のため特定の試験を実施しているところもあります。

「仕事内容は?」
II種合格者には、国の中枢でゼネラリストとして活躍する道、地方機関の幹部候補として活躍する道、専門分野のスペシャリストとして活躍する道などが開かれています。
同じII種試験に合格しても、採用された省庁によって就く職種はさまざまです。また同じ省庁でも、中央官庁の内部部局や外局(庁および委員会)、出先機関(財務省財務局等)などによっても、仕事内容は異なります。平均的な異動のサイクルは2・3年です。

試験内容

第一次試験 教養試験(択一式・2時間30分)
論文試験(小論文・1時間・行政区分のみ)
専門試験(択一式・3時間、ただし建築は2時間)
専門試験(記述式・行政区分は未実施・建築は2時間・それ以外は1時間)
第二次試験 人物試験(個別面接)
※実際に受験する場合は、かならず各自でご確認ください。

以下では、公務員試験合格のための第一関門、一次試験の試験内容について、採用人数、受験者数とも最多の行政職を取りあげて詳しくご紹介します。

より多様な人材を確保する目的で、専門試験では選択解答制が導入されています。(16科目80問の中から8科目40問を選択解答)
また、教養試験については、一般知能分野(文章理解・判断推理・数的推理・資料解釈)は25問を必須解答、一般知識分野は30問の出題の中から20問を選択して解答する形です。

【専門試験】    【教養試験】
科 目 問題数
政治学 5
行政学 5
憲法 5
民法総則物権 5
民法債権親族相続 5
行政法 5
ミクロ経済学 5
マクロ経済学 5
財政学・経済事情 5
経営学 5
国際関係 5
社会学 5
心理学 5
教育学 5
英語(基礎) 5
英語(一般) 5
合 計 16科目80問中
8科目40問を
選択解答
科 目 問題数
文章理解 8 必須解答
判断推理 9
数的推理 5
資料解釈 3
数学 2 30問から
20問を
選択解答
物理 2
化学 2
生物 2
地学 2
思想 2
文学・芸術 2
日本史 2
世界史 2
地理 2
政治 3
経済 4
社会 3
合 計 55問中45問を
選択解答

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