ブレイクスルー民法
民法の攻略に近道はありません。全体の構造をつかむことが一番・・・ではありますが、その突破口はいろんなところにあるはず。重要用語を基礎からしっかり理解して、そこからコツコツ積み上げていきましょう。難関民法を攻略する突破口、第11回は「未成年者」です。ゼミネット公務員講座とあわせて読めば、かなりの基礎力がつきます。
バックナンバー
第1回「通謀虚偽表示」 第2回「無権代理」 第3回「取得時効」 第4回「177条」 
第5回「取消と登記」 第6回「即時取得」 第7回「抵当権」 第8回「債権」 
第9回「債権者代位権」 第10回「保証人」 第11回「未成年者」

追加コンテンツ
「権利能力」  「成年被後見人」  「錯誤」 「公序良俗」  「詐欺」  「復代理」
「表見代理」  「消滅時効」  「物権」 「一物一権主義」  「留置権」  「質権」
「譲渡担保」  「物上代位性」 「債務不履行」  「債権者取消権」  「債権譲渡」
「第三者による弁済」 「債権の準占有者に対する弁済」  「相殺」 「申込と承諾」
  「同時履行の抗弁権」  「解除」 「危険負担」 「贈与」  「他人物売買」
  「瑕疵担保責任」 「手付」  「使用貸借」 「敷金」 「転貸」 「請負」 「事務管理」
「不法原因給付」 「不法行為」 「使用者責任」  「内縁」 「認知」 「遺留分」 

第20回 「物権」 民法では「物件」じゃないよ、似てるけど。。。

物権とは、物を直接に支配する(=物の価値を享受する)権利だ。物権の中の1つである所有権は、物の価値を100%享受できる権利で、物を自分で使用することも人に貸して賃料を取ることもあるいは売却することも何でもできる。所有権に対して、物の価値の何%かだけを享受できる権利が制限物権だ。制限物権には、以下のものがある。まず、他人の土地を畑や牧畜用として使う永小作権、他人の土地を樹木や建築物の用地として使う地上権、他人の土地を自分の土地の不便を除くために使う地役権(この他に、山などに入り会って木材の伐採や採草などをする入会権があるが、これは重要でない)がある。これらの権利は、物を用途に従って使用する権利なので用益物権と呼ばれる。次に、物の金銭的な値打ちを利用する先取特権・質権・抵当権がある。これらは、物を用途に従って使うのではなく、物を借金のカタとして押さえておき、返済のないときはその物を競売にかけてその代金から優先的に返済させる権利だ。そこでこれらは担保物権と呼ばれる。なお、担保物権の中には、留置権という権利もある。これは、物を人質(物質?)にとる権利とでもいうべきもので、物を返さないでおいて(=留置して)、返して欲しいという心理的圧迫を加えて借金の返済を促すというものだ。ところで、所有権や制限物権とは別の物権として、占有権がある。これは、とにかく自分のために物を所持しているだけで一定の利益を享受しうることを権利として捉えたものだ。たとえば、他人の物でも占有していれば取得時効が認められるのも占有権のおかげだとみることができる。

ここがよく出る
物権は、物を直接に支配しその価値を享受することを権利として保障したものだから、何人かによってその支配が妨げられたときは、やめろ!という請求ができる。これが物権的請求権(物上請求権ともいう)だ。物権的請求権には、物の支配が第三者によって妨害されているときに使う「妨害排除請求権」と、妨害される危険があるときに使う「妨害予防請求権」と、物が第三者の下にあるときに使う「返還請求権」とがある。
物権の種類は、民法やその他の法律で規定してあるものに限られる。私人が勝手に新型の物権を作り出したり、既存の物権の内容を修正したりすることはできない。これが物権法定主義だ。たとえば、地下1メートルまでの所有権などのように勝手に所有権の内容を変えられると、土地に対する権利関係が複雑になって困るし、登記制度をこれに対応させることも困難になるからだ。
慣習によって認められている物権は、物権法定主義の例外として許容される。水利権(ため池や川から水田に水を引いてくる権利)や温泉権(温泉の湧き出る所から引湯する権利)がこれにあたる。

ゼミネット公務員講座では、イラスト・図表を利用してわかりやすく解説しています。

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